日本薬理学雑誌
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86 巻 , 1 号
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  • 黒沢 元博
    1985 年 86 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ラット白血病細胞RBL-1 cellをプロテアーゼインヒビター,2-mercaptoethanol,2価イオンキレート剤の存在下に細胞破砕装置で破砕し,DEAE celluloseカラムクロマトグラフィーを行い,流出液のprotein kinase活性を測定し,以下の結果を得た.1) 2つの異なった酵素活性のピークが得られた.0.1~0.12MNaClで認められた大きな酵素活性はCa2+に依存した.小さな酵素活性はcyclic AMPに依存した.cyclic GMPに依存する酵素活性は認められなかった.2) Ca2+依存性protein kinaseをSephadex G-150カラムクロマトグラフィーによりさらに精製し分子量を求めると65,000~70,000であった.3) 酵素活性はdioleinにより増加したが,他のdiacylglycerolあるいはmono,triglycerideには影響されなかった.4) 酵素活性はdibucaine,tetracaine,procaineの局所麻酔剤およびchlorpromazineにより抑制された.5) 各種リン脂質を用いた検討ではphosphatidylserineが最も強く酵素活性を増加した.phosphatidylinositol,phosphatidic acidおよびphosphatidylethanolamineによる酵素の活性増加程度は少なく,phosphatidylcholineは酵素活性に影響しなかった.以上ラット白血病細胞RBL-1 cell中にCa2+,リン脂質,diacylglycerol依存性protein kinaseいわゆるprotein kinase Cの存在を証明した.
  • 黒沢 元博
    1985 年 86 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ラット肥満細胞を細胞破さい装置により破さいした後Percoll比重法により顆粒を分離した.形態学的に膜の保たれた正常穎粒をMg2+またはMn2+の存在下に[γ32P]ATPと反応させると32P標識diphosphoinositide(DPI)カミ産生された.[α32P]ATPを用いても32P標識DPIは認められず,DPI産生はMg2+またはMn2+およびATPに依存したことよりラット肥満細胞顆粒膜にはphosphatidylinositol kinaseが存在することが明らかになった.本酵素のATPのKm値は25 μMであった.Mg2+,Mn2+がそれぞれ20 mM,2 mMにおいて最大の反応がみられたが,双方の2価イオン共存下ではそれぞれ単独の際に比しDPI産生量は増加しなかった.反応は速やかで,反応温度に関しては28°Cで最大の反応が認められた.Ca2+,F+,cyclic AMPはそれぞれ5 mM,5 mM,30 μM以上において濃度に依存してDPI産生量を抑制した.
  • 入野 理, 斉藤 清, 大久保 一三
    1985 年 86 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    in vivo,ex vivoおよびin vitro血小板凝集に対するcholine salicylate,sodium salicylate,acetylsalicylic acidの作用について検討した.これらの化合物は,in vivo血小板凝集に起因するマウスでのADP惹起呼吸抑制を抑え,このうちとくにcholine salicylateセこ最も著明な作用がみられた.choline salicylateはendotoxinを静脈内投与したマウスの死亡率を低下させる傾向を示したが,他の化合物では何ら作用はみられなかった.ex vivo ADP凝集の抑制作用はcholine salicylate>acetylsalicylic acid ?? sodium salicylate>choline chloride ?? 無効,の順であり,経口投与1時間後の血漿中蛋白非結合型salicylic acid濃度はcholine salicylate>acetylsalicylic acid ?? sodiumsalicylate,の順であった.なお,in vitroでの作用はcholine salicylate ?? sodium salicylate>choline chloride ?? acetylsalicyli cacid ?? 無効,の順であった.これらのことからin vivo,ex vivoおよびin vitroでのcholine salicylateの作用にはsalicylic acidが重要な役割をになっていると考えられた.また,cholineはsalicylic acidの血漿中濃度を高め,その結果in vivoおよびex vivoでのsalicylic acidの作用が増強されたものと考えられた.さらに,ex vivoでのcholine salicylateの作用は抗凝固剤としてheparinを用いたplatelet rich plasma(PRP)でのADP凝集において認められたのに対し,citrateでのPRPでは作用は認められなかった.このようなことから,salicylic acidの抗血小板作用はADP凝集における血小板での細胞外カルシウム代謝の阻害による可能性が推察された.
  • 山内 秀泰, 森河 康一, 桑野 光明, 疋田 光史, 藤村 健一, 堀内 正人, 植村 攻, 磯 正
    1985 年 86 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    N-(2-mercapto-2-methylpropionyl)-L-cysteine(SA96)およびその主要代謝物であるN-[2-methyl-2-(methylthio)propionyl]-L-cysteine(SA679)のラットにおける生体内vitamin B6(VB6),金属皮膚コラーゲンに及ぼす影響を,D-penicillamine(D-Pc)を比較対照薬として検討した.SA96は30 mg/kgおよび150 mg/kgの28日間連日経口投与によって肝臓中および血清中VB6量に対して全く影響を及ぼさなかったが,600 mg/kgでは肝臓中VB6量のみ軽度低下させた.またSA679も600 mg/kgで肝臓中VB6量の軽度低下作用を示した.一方,D-Pcは150 mg/kgおよび600 mg/kgの28日間連日経口投与により肝臓中および血清中VB6量を顕著に低下させた.尿中VB6排泄に対しては,SA96,SA679およびD-Pc共に影響を与えなかった.SA96およびSA679とpyridoxal-5-phosphateとのin vitroにおける結合体形成作用は,D-Pcに比べてはるかに弱いものであった.また,金属に対してSA96は150 mg/kgおよび600 mg/kgでCu,Znの尿中排泄を増加させ,肝臓および血清中Cu濃度を減少させたが,血清中Zn濃度に対しては逆に増加作用を示し,D-Pcと同様な作用態度を示した.しかし,SA96のこれら金属に対する作用はD-Pcに比較して極めて弱いものであった.皮膚コラーゲンの可溶性および不溶性分画に対して,SA96およびSA679はほとんど影響を及ぼさなかったが,D-Pcは可溶性コラーゲンを顕著に増加させ,600 mg/kgでは不溶性コラーゲンの減少をも認めた.これらの成績より,SA96は薬効用量においてはD-Pcと異なり,生体内VB6,金属およびコラーゲンに対して影響を与えないものと考えられた.
  • 黒河内 寛, 中嶋 敏勝, 喜多 大三, 仲西 安正
    1985 年 86 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ラットにおける各種サーカディアンリズムにおよぼすニコチンの影響について検討する目的で,飲水中よりニコチンを自由摂取させた際の自発運動量,飲水行動量,血清コルチコステロン,薬物代謝酵素活性の日内変動を測定した.雄性4週齢のWistar系ラットを用い,薄明期と薄暮期を含む12時間間隔の明暗サイクル条件下の飼育室内で,一定飼料と水を自由に摂取させて飼育した,ニコチンは10 mg/kg/dayとなるよう飲水中に混ぜて6週間自由摂取させ,ニコチンを与えずに同期間飼育したラットを対照群とした.飼育期間中に測定した自発運動量と飲水行動量は,ニコチン摂取群,対照群ともに夜行性動物特有のサーカディアンリズムを示すことが認められた.その際,ニコチン摂取群では,対照群に比し,1日の総飲水行動量は減少を示したが,総自発運動量(ambulation)は増加を示した.飼育期間終了後に測定した結果からは,ニコチン摂取群の体重および肝,腎,脳の湿重量は,対照群より低値であった.肝重量の体重に対する比は,6時を除き,両群の間に有意差は認められなかった.また,血清コルチコステロンは,両群ともに同じパターンのサーカディアンリズムを示すことが認められたが,ニコチン摂取群では,対照群に比し,暗期に高値を示した.肝のニコチン酸化酵素活性は,ニコチン摂取群で,暗期に対照群より若干高値を示した.以上より,ニコチン10 mg/kg/dayの摂取は,ラットの行動量,血清コルチコステロン,肝のニコチン酸化酵素活性において,時刻によっては,対照群と測定値に差を示すことが認められたが,夜行性動物特有のサーカディアンリズムのパターンに対しては,著変が認められなかった.
  • 真鍋 厚史, 白崎 恭子, 川島 育夫, 中山 貞男, 笠原 多嘉子, 坂本 浩二
    1985 年 86 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    当教室では,種々薬物の生体膜ならびに人工膜に対する膜作用を検索している.今回,抗不整脈薬であるアプリンジン,リドカイン,メキシレチンについて,生体膜としてラット赤血球と単離肝細胞,人工膜モデルとしてジパルミトイルL-α-ホスファチジルコリン(DPPC)のリポソーム二重膜を用い検討した.6週齢体重150 gのSD系雄性ラットから得た赤血球を用い,低張性溶血に対する薬物の作用を上清のヘモグロビンの量より測定した.またコラゲナーゼ処理により採取したラット単離肝細胞を用い,上清に逸脱してくる酵素(GOT,LDH)を測定し薬物の膜作用を検索した.界面活性作用は表面張力計を用い測定した.リポソーム二重膜については,液晶相↔固相間の相転移温度の変化を90度光散乱法により測定した.低張性溶血においては,アプリンジンでは,6×10-5Mから溶血抑制を示し,2×10-4Mで最大の約60%の溶血抑制がみられ,6×10-4Mでは逆に溶血促進を認めた.リドカイン,メキシレチンでは溶血抑制および溶血促進はみられなかった.単離肝細胞からの酵素逸脱は,アプリンジンにおいてGOTでは4×10-5Mから,LDHでは2×10-4Mより見られた.また界面活性作用は,アプリンジンでは,1×10-4Mから表面張力の低下が始まり,1×10-3Mでは31 dyne/cmの低下がみられ,メキシレチンでは1×10-4Mから低下が始まり,1×10-3Mでは27 dyne/cmの低下がみられた.リドカインでは著明な変化はみられなかった.またDPPCの相転移温度はアプリンジン200 μMでは40.2°C,メキシレチン1000 μMでは40.8°Cで,対照である1000 μM DPPCの41.7°Cに比べて低下を認めたが,リドカインでは著明な変化はみられなかった.以上のことより,アプリンジンはリドカイン,メキシレチンに比べ,生体膜に対し強い膜作用を有することが認められた.またこれらの薬物はリン脂質に対し強い親和性を持つことが示唆された.
  • 戸部 昭広, 江川 三生, 斉藤 健一, 橋本 紀子
    1985 年 86 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    MCI-2016(bifemelane hydrochloride)の自発運動活性に対する影響を種々の条件下(正常条件,低酸素負荷,頭部外傷負荷)で検討し,methamphetamineならびにCa-hopantenateと比較した.正常条件下にMCI-2016を単回投与した場合(12.5~50 mg/kg, p.o., 3~12 mg/kg, i.p.),12 mg/kg, i.p. 投与例で有意なSMA亢進が観察された.一方,同一条件下にMCI-2016を12.5~50mg/kg, p.o. 連投すると(9~10日間)用量依存的なSMA亢進が観察された.この時,MCI-2016 50 mg/kg, p.o. 投与例でのSMA亢進は馴化期でより顕著に認められた.低酸素負荷(5% O2)によるラットSMA低下に対しても,MCI-2016は50~100 mg/kg, p.o. の5日間連投により有意な改善効果を発現し,その効果はCa-hopantenateに優った.更に頭部外傷負荷後のマウスの自発性低下状態に対してもMCI-2016は50~400 mg/kg, p.o.で有意な拮抗作用を発現した.対照のCa-hopantenate 100~400mg/kg, p.o. では有意な効果は認められなかった.MCI-2016のSMA亢進機序を予測する為methamphetamineを対照として各種受容体作用薬との相互作用を急性投与下に検討した.その結果,MCI-2016のSMA亢進作用がhaloperidolよりもphenoxybenzamineでより強く抑制されること,更に本剤はatropineあるいはscopolamineに対し拮抗的に働くことが判明した.このことは,MCI-2016がmethamphetamineとは質的に異なる作用を有し,noradrenergicあるいはcholinergic mechanismをそれぞれ独立的,あるいは相互作用下に賦活させる可能性が推測された.低酸素負荷ならびに頭部外傷負荷時に於けるcholinergic mechanismの機能低下に関する報告を併わせ考えると,本剤は上記のメカニズムを介して種々条件のSMA低下を改善させるものと予測される.
  • 府川 和永, 坂東 和良, 畑中 佳一, 大場 誠一, 本多 秀雄, 斉藤 清, 中里 紀久男, 入野 理, 名川 雄児, 永岡 明伸
    1985 年 86 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    iprazochrome(IC)の薬理作用として血管系におよぼす影響を検討して次の結果を得た.1) 急性毒性試験では雌雄マウスおよびラットに経口10,000 mg/kg,静注80 mg/kg投与したが死亡例および異常症状はみられなかった.2) 血小板凝集に対してはin vitroで抑制傾向を示し,in vivoでは血小板凝集に起因する呼吸抑制に影響を与えなかった.3) 抗serotonin作用はin vitroでイヌ外頸動脈および大腿動脈においては,非競合的拮抗作用がみられたが,methysergideの1/65~1/24と弱かった.in vivoでのラットserotonin浮腫に対しては抑制しなかった.4) マウス腹腔内色素透過性試験では200 mg/kg(p.o.)投与しても24%以下の抑制しかみられず,phenylbutazoneの1/2弱の抑制であった.5) 脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット(SHRSP)に連続投与することにより,血圧上昇に影響することなく,卒中症状の発症を予防した.6) 卒中発症動物の大脳には基本病変として,主に皮質から線状体にかけて,神経細胞の浮腫と萎縮よりなる虚血豫がみられた.
  • 守下 秀治, 櫛来 和司, 古川 達雄, 八巻 芳夫, 井沢 正典, 柴崎 義明, 柴田 右一
    1985 年 86 巻 1 号 p. 71-85
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    CM6912および主要代謝物M1,M2の呼吸・循環器,自律神経,平滑筋,その他に対する作用を検討した.1) 呼吸・循環器系に対し,無麻酔ウサギへのCM6912の1 mg/kg静脈内投与では作用がなく,5, 30 mg/kgの経口投与では心拍数は増加したが,呼吸,血圧,心電図には作用は認められなかった.pentobarbital麻酔(以下麻酔)時のウサギでは,CM6912の1, 5 mg/kg静脈内投与で呼吸数の軽度減少のほかは作用がなく,イヌでは5 mg/kgで呼吸数,心拍数は,減少し,血圧,心電図には作用は認められなかった.M1,M2でも作用はCM6912に類似したが,M1は無麻酔ウサギで心拍数を増加させた.2) CM6912の5mg/kgの麻酔イヌへの静脈内投与で,頸動脈洞反射ならびに迷走神経および心臓神経節前,節後神経の刺激効果に影響を与えなかった.3) CM6912および代謝物は,ウサギ摘出心房標本および動脈条片においても作用を示さなかった.4) 摘出筋標本では,CM6912の高濃度でウサギ小腸,モルモット気管筋で軽度の抑制作用が認められたが,ラットの非妊および妊娠子宮,モルモットの輸精管および小腸,ラットの横隔膜神経筋標本では高濃度でも作用は認められなかった.またCM6912および代謝物は,モルモット小腸でのACh,5-HT,histamineおよびBa,輸精管でのadrenaHneの収縮作用に影響を与えなかった.5) ラット生体子宮で,CM6912の2, 10 mg/kg経口投与で作用は認められなかった.6) CM6912および代謝物は静脈内投与で,ウサギ瞳孔径および対光反射に影響を与えなかった.7) CM6912は経口投与で,腎機能,肝機能,溶血性および血液凝固性に影響を与えなかった.8) 局所麻酔および刺激作用もなかった.以上の結果より,CM6912および主要代謝物M1,M2は末梢作用の弱い薬物である.
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