日本薬理学雑誌
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新抗高血圧薬Pinacidilに関する薬理学的研究
2. 降圧機序の検討
上田 元彦佐藤 初夫松田 三郎宇野 攻堤内 正美
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1985 年 86 巻 6 号 p. 359-368

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抄録

麻酔ネコ,モルモット摘出心臓および摘出血管に対するpinacidil(PND)の作用をhydralazine(HDL),nifedipine(NFD)の作用と比較し,その降圧作用機序を明らかにしようとした.1) 麻酔ネコにおいて,PNDは0.3 mg/kg(p.o.)から用量依存性の降圧作用と全末梢抵抗の減少作用を示し,大量投与時には心拍出量の増加をきたした.PNDの呼吸運動,心拍数,心電図波形に及ぼす影響は軽度であった.2) PNDの降圧作用に対する自律神経系の関与を,頸部交感,迷走両神経刺激による瞬膜収縮および降圧,徐脈反応から検討したが,その関与はほとんどなかった.3) PNDのモルモット摘出心房および摘出心臓標本(Langendorff氏法)の収縮力および拍動数に及ぼす作用は軽度であったが,PNDは少量(1 μg)から冠血管拡張作用をきたした.NFDはより少量(0.1 μg)から冠血管拡張作用を示すが,心収縮力をも抑制した.しかしHDLではその冠血管拡張作用に100 μg以上を要した.4) PNDは10-6~10-5Mでモルモット摘出胸部大動脈および門脈のnorepinephrine(NE)拘縮を抑制したが,K拘縮を抑制するには10-5~10-4Mを要した.摘出胸部大動脈標本においてHDLはNE拘縮を強く抑制するのに対し,NFDはK拘縮をとくに強く抑制した.以上の結果から,PNDによる降圧作用はその末梢血管拡張作用によるものだが,それには膜電位依存性のCa流入抑制よりも,受容体の活性化と関連したCa流入抑制または細胞内Ca貯蔵部位からの遊離抑制がより強く関与すると考えられる.

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