日本薬理学雑誌
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Response duration scheduleを利用したラットの視覚および聴覚機能の測定法
鍋島 俊隆水野 淳宏高橋 和幸亀山 勉
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1985 年 86 巻 6 号 p. 393-400

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抄録

実験動物の視覚および聴覚閾を正確にかつ簡単に測定するため,音源に対するラットの位置,方向が一定となり,また,比較的短期間に訓練可能なresponse durationスケジュール下で確立した条件反応を利用した方法について検討した.Skinner箱は,音の反射を避けるため穴および音源部を除き,全て鉄格子とした.実験スケジュールとして,ラットが一定時間以上穴に鼻を入れている時条件刺激(音または光)を提示し,刺激提示中に鼻を穴から出した時のみ強化として水0.01 mlを与えた.視覚または,聴覚閾は,条件刺激提示後穴から鼻を出すまでの反応潜時を指標として判定し,穴から鼻を出す行動の特異性は,音または光刺激を条件刺激としてチェックした.照度を10 Lxずつ低下させると一定照度以下でこの反応潜時が急速に延長した.また,音圧を低下させてもこの反応潜時が一定音圧以下で急速に延長した.訓練時の照度100 Lxおよび音圧90 dBを提示した時の反応潜時の2倍となる照度,音圧をそれぞれ視覚,聴覚閾とした.その結果,正常ラットでは,15.6 Lxという閾値が得られた.角膜をアルカリーンバーンすると29.1 Lxに閾値が上昇した.また,聴覚閾値は10 KHzで19.5 dB, 7 KHzで37.5 dB, 3KHzで54.6dBと周波数に反比例して上昇した.耳栓した動物,鼓膜を穿刺した動物では,閾値がそれぞれ約6および12 dB上昇した.以上の結果から,この方法は,ラットの視覚および聴覚機能を正確に測定できる有用な方法であると思われる.

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