日本薬理学雑誌
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Y-8894の薬理学的研究(第6報)
脳内モノアミン取り込みおよび代謝回転に及ぼす影響
瀬戸口 通英竹原 修造酒盛 政光阿南 惟毅丸山 裕
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1987 年 90 巻 1 号 p. 41-49

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抄録

実験的学習・記憶障害モデル動物で改善作用を示すY-8894,(±)2-[[o-(2-thenyl) phenoxy] methyl]morpholine maleateの脳内モノアミン取り込みおよびモノアミン代謝回転に及ぼす影響をマウスを用いて検討し,以下の成績を得た.1)in vitroでnorepinephrine(NE)の脳シナプトソームへの取り込みを強く阻害した.dopamine(DA)およびserotonin(5-HT)取り込み阻害作用は弱く,NEの場合に比し,それぞれ,約1/800および約1/1250の活性であった.2)in vivoではNEの取り込みを阻害し,DAおよび5-HTの取り込みを阻害しなかった.3)NEの代謝物である3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)のprobenecid投与後の脳内蓄積を抑制し,5-HTの代謝物である5-hydroxyindoleacetic acid (5-HIAA)の蓄積を亢進させた.DA代謝物のhomovanillic acid (HVA)の蓄積には影響を及ぼさなかった.以上の成績をimipramine,calcium hopantenate(Ca-hopantenate)およびdihydroergotoxineと比較した.本実験で得られた成績から,Y-8894の作用機序にNE取り込み阻害作用による脳内NE受容体刺激作用,また一部には5-HT受容体遮断作用の関与が示唆された.

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