抄録
老齢アカゲザル2群と若齢アカゲザル1群を用いて450191-S投与後各群間の睡眠導入作用の異同を比較し併せてその活性代謝物の血漿中濃度推移と催眠作用の相関関係について考察した.450191-S 1mg/kgを経口投与した老齢サルでは徐波深睡眠(SWDS)の迅速な出現と安定した持続が得られ,SWDSの出現量を含む睡眠パラメーターに老齢サル問の差違はみられなかった.一方,若齢サルに対する450191-Sの催眠効果すなわち夜間14時間中の覚醒期の減少程度,SWDSの増加程度およびSWDSの平均持続時間は老齢サルの場合より有意に少なかった.これらの成績は血漿中活性代謝物濃度,とりわけM-2の血中濃度が老齢サルでは若齢サルよりも著しく高いことと関連を有するものと思われる.