日本薬理学雑誌
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90 巻 , 3 号
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  • 山原 條二, 三木 修治, 松田 久司, 小林 悟朗, 藤村 一
    1987 年 90 巻 3 号 p. 133-140
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    漢薬『チョウトウコウ』に含有される4種のoxyindole-typeのアルカロイドである,rhynchophylline,corynoxeine,isorhynchophylline及びisocorynoxeineの血管に対する作用を,マグヌス法を用いたラット及び白色家兎胸部大動脈ラセン条片標本におけるカルシウム動態に及ぼす影響より検討した.ラット胸部大動脈において,rhynchophylline,corynoxeine,isorhynchophylline,isocorynoxeineそれぞれ10-5M処置及びverapamil 10-7M処置は,K+拘縮,CaCl2収縮,norepinephrine(NE)収縮,及び45Ca2+取込みを有意に抑制したが,Ca2+-free medium中におけるNE収縮には有意な抑制作用を示さなかった.また,sodium nitroprusside 10-7M処置は,NE収縮に対して有意な抑制作用を示した.これに反し,白色家兎血管におけるNE収縮並びにCa2+-free medium中におけるNE収縮は,rhynchophylline,corynoxeine,isorhynchophylline,isocorynoxeineそれぞれ10-5M処置及びverapamil 10-7M処置により何ら抑制作用を受けず,sodium nitroprusside 10-7M処置のみが,これらを有意に抑制した.以上の結果より,rhynchophylline,corynoxeine,isorhynchophylline及びisocorynoxeineは,膜電位依存性カルシウムチャンネルからの外液カルシウムの細胞内流入は抑制するが,受容体作動性カルシウムチャンネルからの外液カルシウム流入及び細胞内貯蔵カルシウムの遊離には影響することなく,比較対照薬として用いたverapamilに類似した,細胞外カルシウム流入阻害作用を有することが示唆された.
  • 石黒 茂, 西尾 晃, 宮尾 陟, 森川 嘉夫, 竹野 一, 柳谷 岩雄
    1987 年 90 巻 3 号 p. 141-146
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    マグネシウム(Mg)欠乏飼料で幼若ラットを飼育すると脾臓のヒスタミン含量が著明に増加する.この増加したヒスタミンがどのような細胞に含まれているのかを明らかにする目的で組織学的観察を行った.Mg欠乏飼料(0.001%Mg)で幼若ラット(平均体重50g)を飼育すると,8日目には脾臓の腫大がみられ,対照ラットの約2倍の重量を示し,ヒスタミン含量は約30倍に増加した.エポキシ樹脂包埋の厚切標本の光学顕微鏡観察により多数の顆粒細胞が観察された.電子顕微鏡観察では,核の形態と顆粒の電子密度から好中球および好酸球が鑑別されるが,この二種類の細胞以外に,数個から20数個の顆粒を含有する細胞が観察された.この細胞の顆粒の大きさは肥満細胞の約2倍(1μmを越える)に達するものも認められた.遊離脾臓細胞をギムザ染色すると,Mg欠乏ラットでは,対照ラットでは観察されなかった好塩基性骨髄球および好塩基球の出現が観察された.これらの細胞内にはo-phthalaldehydeと反応して黄色の螢光を示す顆粒が散在して認められた.一方,腹腔肥満細胞を同様にo-phthalaldehydeと反応させると黄色の螢光を示す顆粒は密に存在しており,好塩基性細胞のものとは異なっていた.以上の成績より,Mg欠乏ラット(Mg欠乏8日目)脾臓のヒスタミン含量増加には,好塩基球の増加が関与していることが示唆された.
  • 今枝 一男, 大沢 敬子, 渡辺 卓穂
    1987 年 90 巻 3 号 p. 147-153
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    ラット皮表脂質の分離分析を行うために,フォトダイオードアレイを用いた同時多波長検出器により,高性能液体クロマトグラフィーで,分析条件の検討をした.併せて,吸引型皮表脂質採取装置を用い,性ホルモンを投与した去勢ラットから経時的に皮表脂質を採取して,皮表脂質量および皮表脂質中のスクアレンとコレステロールの同時定量を行い,その成分変化について検討した.ODS系固定相にULTRON N-C18(150×4.6 ID mm)を,溶離液にアセトニトリル/テトラヒドロフラン/水(55/35/10,V/V)を用い,検出波長210nm,流速1.Oml/min,恒温槽温度40°Cの条件でコレステロールとスクアレンの良好な分離ができた.皮表脂質量は精巣摘出後8日目で減少し,精巣摘出ラットにエストラジオール投与したものもまた減少した.一方,卵巣摘出ラットでは,テストステロン投与により,皮表脂質量は増加した.去勢および去勢後のエストラジオール投与は,雄性ラットにおいてスクアレンとコレステロールの百分率組成を減少し,雌ではそのような変化は認められなかった.
  • 山本 研一, 内藤 行雄, 沢田 亨
    1987 年 90 巻 3 号 p. 155-162
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    老齢アカゲザル2群と若齢アカゲザル1群を用いて450191-S投与後各群間の睡眠導入作用の異同を比較し併せてその活性代謝物の血漿中濃度推移と催眠作用の相関関係について考察した.450191-S 1mg/kgを経口投与した老齢サルでは徐波深睡眠(SWDS)の迅速な出現と安定した持続が得られ,SWDSの出現量を含む睡眠パラメーターに老齢サル問の差違はみられなかった.一方,若齢サルに対する450191-Sの催眠効果すなわち夜間14時間中の覚醒期の減少程度,SWDSの増加程度およびSWDSの平均持続時間は老齢サルの場合より有意に少なかった.これらの成績は血漿中活性代謝物濃度,とりわけM-2の血中濃度が老齢サルでは若齢サルよりも著しく高いことと関連を有するものと思われる.
  • 福武 勝彦
    1987 年 90 巻 3 号 p. 163-169
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    urinastatinの抗血液凝固作用についてin vitroの観察を行い次の結果を得た.凝血スクリーニング試験において,正常ヒト血漿への諸種濃度urinastatinの等量添加は,部分トロンボプラスチン時間を用量依存性に延長するが,プロトロンビン時間においては2,000単位以上の高濃度urinastatin添加で延長した.またurinastatinは用量に依存したトロンビン時間の延長を示した.ヒト血漿よりの活性化接触因子XIIa因子,精製ヒト血漿カリクレイン共に,それぞれの合成基質法において5,000単位/ml以上のurinastatinの添加で明らかな阻害が合成基質S-2302の吸光度変化から認められた.Russell's viper venom (RVV)による活性化X因子も通常の合成基質法に3,000単位/ml以上のurinastatinを添加して合成基質S-2222の吸光度変化から阻害が認められた.上述の成績からurinastatinはヒト血液凝固に対して内因系,外因系および共通凝血系の凝固因子の作用を阻害するものと思われた.ヒト正常血漿の活性化部分トロンボプラスチソ時間(APTT)は,20,000単位/ml urinastatinまたはヘパリン添加により延長したが,Urinastatinとヘパリンの同時添加では相加的に凝固時間を延長し,抗トロンピンIIIとurinastatinの血液凝固阻害の機構には競合性は認められなかった.20,000単位/mlの高濃度urinastatinの純化活性化プロテインCに対する阻害はみられなかったが,80μg/mlのgabexate mesilateではプロテインC阻害が合成基質S-2366を用いて観察された.純化ヒトプラスミンと血漿中でストレプトキナーゼで活性化されたプラスミンを,各濃度urinastatin共存下で合成基質S-2251の分解能を比較すると血漿の存在下でurinastatinのプラスミン阻害効果が低下した.このことからプラスミンに対するurinastatinの阻害に拮抗する物質または反応環境が血漿中に存在することが示唆された.
  • 大島 清, 清水 慶子, 穐本 晃, 津田 健, 大廻 長茂, 粟田 浩
    1987 年 90 巻 3 号 p. 171-175
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    妊娠ラットおよびサルを用いて,麻酔下で子宮運動をバルーンカテーテル又はオープンエンドカテーテル法により測定し,OU-1308の子宮に対する作用をprostaglandinF2(PGF2)と比較検討した.妊娠ラットにおけるPGF2およびOU-1308の静脈内投与での子宮収縮量は,妊娠8日目でいずれも30μg/kg,妊娠20日目でいずれも10μg/kgであった.妊娠50~120日目のサルにおけるPGFおよびOU-1308の静脈内投与での子宮収縮量はいずれも10μg/kgであった.なお,OU-1308の500μg/kgの経口投与では妊娠サルの子宮運動に影響を及ぼさなかった.以上の結果から,OU-1308は静脈内投与でPGFと同等の子宮収縮作用を有する事が明らかになった.
  • 沖山 雅彦, 上野 光一, 大森 栄, 五十嵐 隆, 北川 晴雄
    1987 年 90 巻 3 号 p. 177-186
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    oxazepam(OZ)の薬物動態ならびに薬効に対するimipramine(IM)併用による薬物相互作用を検討する目的で,oz20mg/kgを単独あるいは塩酸IM20あるいは50mg/kgとの併用により単回経口投与したラットにおいて研究した.経口投与後における血漿,脳および肝臓中のOZ濃度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定を行った.血漿中OZ濃度は塩酸IM50mg/kgの併用により消失半減期(T1/2β)の延長と血漿中濃度下面積(AUC)の増加が認められた.また脳内OZ濃度も塩酸IMの併用により,1.5倍前後の上昇を示したが,肝臓中濃度においては併用による影響は認められなかった.一方,OZの薬効に対する塩酸IMの影響は,抗pentylenetetrazol(PTZ)痙攣作用ならびに運動協調性に対する作用について検討を行った.経口投与後1時間の抗PTZ痙攣作用において塩酸IMの併用は,OZによる強直性痙攣および間代性痙攣の発生例数の減少ならびに間代性痙攣発生時間の遅延効果を若干増強させたが,経口投与後4時間において影響は認められなかった.OZの運動協調性に対する抑制効果はdiazepam(DZ)に比較して極めて弱く,また持続時間も短かった.このOZによる運動協調性の抑制は塩酸IMの併用においても変化は認められなかったが,DZによる抑制作用に対して塩酸IMの併用は有意な増強を示した.またOZ,DZおよびIMの各々の血漿蛋白結合率は,併用によっても変化は認められなかった.以上の結果よりOZの薬効は,塩酸IMの併用により若干の影響を受けたが,この薬効の変化は血漿中蛋白結合率の変化に起因するものではなく,血漿中濃度さらには脳内OZ濃度の変化と比較的良く一致することが示唆された.
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