日本薬理学雑誌
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480156-Sおよびその関連化合物のプロスタグランジン生合成酵素阻害作用
山口 敏朗広瀬 勝巳中村 裕菅野 浩一
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1987 年 90 巻 5 号 p. 295-302

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抄録

今回検討した480156-S類縁化合物のprostaglandin生合成酵素阻害作用(PG生合成阻害作用)の強さは以下の通りであった.flurbiprofen(ID50;0.10μM)>indomethacin(0.28μM)>ketoprofen(0.34μM)>naproxen(2.5μM)>480156-S(6.0μM)>ibuprofen(6.5μM)>benoxaprofen(47.9μM).いずれの類縁化合物においても,S(+)体の方がR(-)体より数10~数100倍高いPG生合成阻害作用を示した.2-phenylpropionic acidや480156-Sの代謝物M-I,M-IIおよびM-IIIにはPG生合成阻害作用は認められなかった.従って,PG生合成阻害作用には2-phenylpropionic acidのベンゼン環にthiazolyloxy等の疎水性の強い置換基が必要で,しかも4位に結合した場合が最も強かった.ベンゼン環の4位の置換基を変えた場合,PG生合成阻害作用の強さは以下に示す通りであった.thiazolylamino(320)>3-methyl-4-thiazolin-2-ylidenamino(229)>thiazolyloxy(156)>N-methyl-N-thiazol-2-yl-amino(185).ベンゼン環の3位ヘフッ素を導入した場合や3,5位へ塩素を2原子導入した場合はPG生合成阻害作用の増強をもたらすが,3位へ塩素を導入した場合には必ずしも増強されなかった.480156-S関連化合物のPG生合成阻害作用と抗炎症作用との間には比較的良い相関関係がみられたが,鎮痛作用との相関性は低かった.

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