日本薬理学雑誌
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Buflomedi1の実験的脳虚血に及ぼす影響―生存率,局所脳血流量及びブドウ糖代謝率による評価―
石川 敏三佐野 隆信黒田 泰弘副島 由行前川 剛志坂部 武史武下 浩
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1987 年 90 巻 6 号 p. 303-312

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抄録

高血圧自然発症ラットの両側総頸動脈結紮による脳虚血モデルを用い,Buflomedilの脳保護作用を検討した.実験は永久結紮後の生存率と墨汁灌流及び3時間結紮による局所脳血流量([14C]-Iodoantipyrine法)とブドウ糖代謝率([14C]-Deoxyglucose法)に及ぼす影響に分けて検討した.永久結紮後,24時間生存率は対照群(生理食塩水経口投与7日間)6%に対し,Buflomedil群(経口投与7日間)では,30mg/kgで38%,90mg/kgで44%と有意に高かった.また,墨汁灌流を行い得たラットで,早期死亡(3時間以内,対照群及びBuflomedil群)では,脳幹及び小脳のみの墨汁流入であったが,Buflomedil群の生存例では,内頸動脈系にも墨汁流入が認められた.3時間結紮の実験では,虚血時(結紮3時間後)の局所脳血流量は,Buflomedil群(30mg/kg,経口投与7日間)の方が対照群に比し,大脳皮質で71~128%,扁桃核,尾状核・被殻,側座核,淡蒼球で61~150%,内包で82%それぞれ有意に高値であった.3時間虚血後再灌流2時間の局所脳血流量は,両群間に差はなかった.局所脳ブドウ糖代謝率は,3時間虚血後再灌流2時間で,大脳皮質,蝸牛核,前庭神経核において,Buflomedil群が対照群に比べ26~48%有意に高かった.以上から,Buflomedil投与は永久結紮後24時間の生存率を上昇させることが判った.これにはBuflomedilが虚血時の血流低下を軽減する作用があることが関与していると考えられた.

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