日本薬理学雑誌
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ドーパミン側坐核内注入によるラットの自発運動充進に及ぼすY-516の影響
森本 敏彦森本 保人福田 武美瀬戸口 通英
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1990 年 96 巻 2 号 p. 65-71

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抄録
ラットを用い,dopamine(DA)の側坐核内注入によって惹起される自発運動充進に及ぼすY-516の影響をclocapramine(GCP),haloperidol(HPD)およびchlorpromazine(GPZ)を対照薬として比較検討した.予め慢性的にガイドカニューレを植え込んだ雄性Wistarラットを使用した.nialamide100mg,/kgを腹腔内投与して2時間後にDA5~50μg/ratを両側側坐核内に注入することにより,用量依存的に自発運動は充進した.Y-516の0.5~1mg/kg腹腔内投与でDA10μgの注入による自発運動充進は用量依存的に抑制され,ED50値は0.85mg/kgであった.同様の抑制作用はCCP(5~25mg/kg),HPD(0.05~0.5mg/kg)およびCPZ(1~5mg/kg)でも認められ,ED50値はそれぞれ16-5mg/kg,0-098mg/kgおよび2.53mg/kgであった.本試験におけるY-516の効力は,CCPの約20倍,CPZの約3倍であり,HPDの約1/10倍であった.以上,DAにより活性化される側坐核のシナップス後DA受容体に対するY-516の強力な遮断作用は,本剤の抗精神病薬としての有用性を支持するものと考えられる.
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