抄録
新規1,4-dihydropyridine誘導体であるamlodipineの経口投与による抗高血圧作用を各種高血圧動物を用いて検討した.単回投与実験において,amlodipine 1,3,10mg/kgは高血圧自然発症ラットの血圧を用量依存性に低下させた.この血圧低下は投与後ゆっくり発現し,4~6時間で最大となり,10時間後も持続した.一方,nifedipineによる血圧低下は1時間で最大となり,持続時間は短かった.心拍数はnifedipine 3,10mg/kg投与後一過性に著しく増加したが,amlodipineでは10mg/kgでのみ緩徐に増加した.amlodipineが血圧を30mmHg低下させる用量(ED30)は2.3mg/kgであり,その効力はnifedipineと同等であった.腎性高血圧及びDOCA高血圧ラットにおいてもamlodipineは持続的な降圧作用を示し,ED30は各々2.4及び2.2mg/kgであり,nifedipine(2.4及び2.1mg/kg)とほぼ同等の効力であった.腎性高血圧犬において,amlodipineは0.1,0.3,1mg/kgで収縮期及び拡張期血圧(ED30は各々0.3,0.4mg/kg)を同程度に低下させ,この作用も4~6時間後最大となり,長時間持続した.心拍数は1mg/kgで増加した.高血圧自然発症ラット(1,3mg/kg/日,15日間)または腎性高血圧犬(0.2mg/kg/日,20日間)に連続経口投与した実験では,amlodipine投与開始後,数日以内に投与前血圧の低下及び投与後の降圧効果の増大がみられ,その後降圧作用は安定し耐性は生じなかった.投与中止後血圧はゆっくりと投与前値の血圧に復し,心拍数は試験期間中変化しなかった.以上の結果より,amlodipineは各種高血圧動物において,nhledipineと異なり,緩徐に発現しかつ持続的という特徴ある降圧作用を示し,その効力はnifedipineと同等またはそれ以上であること,連続投与でも耐性発現はなく,心拍数の変化も少ないことが示唆された.