抄録
近年は,橋梁や道路などに代表される社会資本の整備が充実し,現状ではこれらの既設の土木構造物の維持管理をいかに効率的にかつ確実に行うかが課題となってきている.しかし,維持補修の必要性が高まる一方,専門家の数は不足しているのが現状である.本研究は,橋梁のコンクリート床版におけるひびわれを対象に,特徴抽出と識別方法を提案し,効率的な維持管理方法の開発を目的とする.具体的には,コンクリート床版を撮影したディジタル画像から,ひびわれを線図形として抽出し,ひびわれ画素の周辺ヒストグラム,ひびわれ画素によって囲まれた画素領域の周辺分布ヒストグラム,および,線図形における特徴点の出現度数を特徴量として抽出した.さらに,近年注目を集めているパーセプトロン型のパターン認識手法であるサポートベクターマシンを識別器として用いて,床版画像から損傷度を識別し,その識別精度を検証した.