抄録
動画像中のターゲット追跡において隠れやフレームアウトが生じると追跡が破綻するという問題に対し,地形情報を考慮することで一時的な隠れやフレームアウトであればターゲットの位置を予測し追跡を継続できる方法を提案する.自律飛行無人ヘリによる自動車の追跡を想定する.地形情報として道路を利用し,色情報に基づき道路の境界を検出する.隠れ部分やフレーム外の道路を3次スプラインで外挿する.自動車の速度及び姿勢を状態とし,システムモデルにて状態の時間的推移をランダムウォークで記述する.ここで,姿勢モデルとして,自動車の向きを道路が続く方向とする.観測モデルは自動車の運動モデルとヘリの操作量との相対的位置で記述し,尤度は自動車の特徴量と道路との同時分布となる.システムモデルと観測モデルで状態空間モデルを構成し,パーティクルフィルタを用いた逐次状態推定により追跡を行う.シミュレーションおよび実画像での追跡実験により提案法の有用性を示す.