抄録
典型的にはメタファーは「AはBだ」「A is B.」の形式を取る.
本稿では,その形式のメタファーを研究対象とし,関連性理論に基づくメタファーの実現のモデルを提案する.
関連性理論では,発話と聞き手の想定,推意の演繹的演算によってメタファーの言い換えが可能である.
推意は発話と聞き手の想定を演繹的に演算した結果である.
本実験では新聞記事コーパスを使って,発話についての知識を抜き出し,そこから想定を生成した.
次に,発話と想定との演繹的演算により,いくつかの推意を得ることができる.
それらの推意の中でどれが発話のメタファーの説明として一番妥当かはその推意と発話にどれだけ関連性があるかどうかを計算すればよい.
関連度の尺度として共起度を用いた.
このモデルでいくつかのメタファーの言い換えを実現し,このモデルの有用性を示す.