抄録
日常生活の様々なケースで,我々は色を利用している.例えば,地下鉄の路線図や天気図などのように色で塗り分けられた地図を見る場合は,複数の要素を色によって区別したり,ある要素を色によって特定したりする.また,信号機を見る場合や,熟れ具合の異なるトマトの中から熟れたものを選ぶ場合などは,対象物の色が何色であるかによって,その状態を判断する.前者の例では,異なる色で塗られた領域を区別する必要はあるが,それぞれが何色であるかを知る必要は無い.一方,後者の例では,色自身が状態を表していて,複数の色を区別するだけでなく,対象物が何色であるかを知る必要がある.しかし,色覚異常の人々にとっては,いずれのことも困難な場合が多い.我々は,特に後者の問題の解決を目的として,色覚異常の人々が本来の色を推定することを補助するための色変換手法,およびそれを実装したソフトウエアを開発した.