本論文では、感性工学の手法を街並地区の景観評価に応用する。具体的な事例として、下関市長府地区をとりあげ、実際の景観写真をもとに、感性評価を行った。まちの景観には、その地域の風土や歴史を反映したデザインというものがよく見られる。これはそのまち特有のイメージを表すものである。まちづくりでは、まち全体においてこのようなイメージの統一を図ることが必要条件となっている。しかし、まちを地区や通り単位で見ると、局所的にイメージの異なる地点が存在する例も多い。また、まちはイメージを決定するデザイン対象が膨大なため、現感性工学手法の適用が難しいデザイン対象といえる。そこで、「まちに抱かれるイメージと各地点のイメージ」について分析を行った。分析方法としてSD評価実験、多変量解析および自己組織化ニューラルネットワーク(SOM)を用いた。