抄録
本研究では,動的連想記憶型リカレントニューラルネットワークモデルである合原モデルの記憶空間局在性の特性について研究する.
本研究では,(i) カオス的遍歴現象にあるネットワークの状態と記憶パターンとの重なりの評価方法を明らかにし,
(ii) その評価方法を用いて,直交学習法により記憶パターン間の重なりをなくした合原モデルにおける,カオス的遍歴と重なりとの影響を明らかにする,以上の2 点を本研究の目的とする.
計算機実験の結果,カオス的遍歴状態にあるネットワークの状態と各記憶パターンの重なりは,記憶パターンの偽逆行列との内積から評価された.
また,カオス強度と重なりの評価実験より,カオス強度が弱い場合,重なりの程度に従って訪問するアトラクタベイスンが決まる.
一方,カオス強度が強くなると,カオス軌道が重なりの影響を受けにくくなり,様々なパターンを訪問する.
よって,カオス強度を制御することで,ネットワークの収束先をコントロールすることができると考える.