抄録
経済分析は経済データを分析することにより,過去,現在あるいは未来の経済状況を知ることが目的である.多くの場合,経済分析は時系列分析に基づいた経済状況を追跡するため,多変量データを用いて対象とするシステムの構造を知るために行われる.このため,時系列分析や回帰分析は経済分析の中心的なツールである.
しかしながら,経済システムは人間や多くの要因に関係する複雑なシステムである.人間などの不確実な要因が含まれるシステムであれば,可能性予測モデルを用いて分析を行う方がよい.筆者は時系列システムがもつ可能性を記述するためにファジィ自己相関モデルを提案している.
本論文では,時系列システムがもつ可能性をもっとも記述するようなファジィ自己相関モデルを構築することを目的とする.また,数値例を用いて提案モデルの有用性を示す.