2021 年 2021 巻 72 号 p. 41-45
2019年および2020年に,ダイズ紫斑病菌の液体培養菌糸を接種源としたポット試験で生物検定を行い,本病農薬登録薬剤の防除効果を検討した.2019年には菌株AおよびBを供試し,アゾキシストロビン水和剤(Az剤)を2回散布した.その結果,無散布区での発病粒率が約5%の少発生条件下で,同剤の防除効果は菌株Aに対しては低く,菌株Bに対しては高かった.2020年には菌株Aを供試し,Az剤およびピリベンカルブ水和剤(P剤)をそれぞれ1または2回,ジフェノコナゾール乳剤(D剤)を1回散布した.その結果,無散布区での発病粒率が30%の多発生条件下で,各薬剤の防除効果はAz剤ではいずれも低く,P剤の1回散布では効果は認められるがその程度はやや低く,同2回散布では効果があり,D剤では効果が高かった.各薬剤の防除効果には供試菌株や散布回数の違いで差は認められたが,本方法による防除効果の判定は可能であった.