抄録
我々は日常生活において,案内板や出入口のサインなど様々な媒体によって行動を誘導されている.しかし混雑したイベント会場や,緊急時の避難などにおいては,環境から得られる知覚情報に制約を受け,誘導媒体に適切に注意を向けることが困難になる.本研究では,このような混雑時に意識下で注意を制御し,行動を誘導するため,外部から錯覚を利用して視線を制御し,更に身体動揺を与えることで視線方向へ身体を誘導する歩行誘導実験を行った.実験から視線方向に身体が誘導されることを確認し,更に誘導が起きるタイミングから視覚と体性感覚のスイッチング機構のモデルを提案した.