抄録
近年,気象状況の変化に伴い集中豪雨の発生件数が増加している.集中豪雨による内水氾濫は,市街地に降った雨が雨水処理能力を超え,川が溢れて水を排水できなくなり,都市内部で浸水を引き起こす災害である.防災対策として,平成12年の東海豪雨を契機に各自治体において雨水貯留施設の整備等,浸水対策が講じられてきてはいるものの,ハード設備のみでの対策には限界があり,町に水があふれるという前提でソフト面も含めた総合的な対策が急務となっている.また,行政ではハザードマップを作成し情報提供しているが,想定雨量に対する浸水領域だけが記載されているものがほとんどである.そこで本研究では,各自治体で実施されている防災対策をモデル化しシミュレーションを行い災害時の情報の重要性と有効性について検証し,安全な避難行動をとるにはどうすればよいかを検討する.