抄録
本論文では,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm : GA) を使用した製品の印象を調査するための手法を提案する.これまでに提案されている製品に関する感性情報分析手法の多くは,製品の物理量(刺激) と部分的な感覚との関係を分析したものや,物理量と総合的印象(好みなど) を分析したものである.しかしながら,製品から受ける部分的な感覚と,総合的な印象との関係を分析したものは非常に少ない.そこで本論文では,製品の総合的な印象と密接に関係している部分的な感覚との関係を分析する感性情報分析手法を提案する.著者らの先行研究では,ユーザの製品への印象や製品の魅力に影響する主要な要素を明らかにするアンケートの結果に基づき,決定木が構築されている.従来の方法とは異なり、その決定木は製品の全体的な印象を決定づける要素を説明する一般的なルールを幾つか示す.そして,生成されたルールから製品設計に有用となる知識を発見することを目的としている.著者らの先行研究では,アンケート結果から構築されたファジィ決定木を用いることで,製品の欲しさを決定づける要素を調べ,いくつかの信頼できるルールを手に入れた.しかし,従来手法ではルール生成に制約がある.決定木の構造上,抽出されるすべてのルールは木構造の最上位ノードに割り当てられる部分評価属性を含むことになる.そこで本研究では,木構造によらない柔軟なルール生成手法として,並列にGA を用いたクラスタリングによるルール抽出手法を行う.本論文では,提案手法である並列GA を用いた感性情報分析手法の有効性を検討した.更に,先行研究であるファジィ決定木で生成されたルールとの性能比較を行った.実験結果より,提案手法において,ルールの性能が向上したことが確認された.