抄録
自動車は単なる乗り物から,多様な機能をもった存在へと変化している.例えば,前方の障害物を検知して自動的に停止したり,前後の車両と通信し隊列を組んで群走行する自動運転技術など,様々な安全運転や自動運転の技術が研究されている.また,電気自動車のバッテリを家庭用電源として活用し,充電や送電の計画をスマートに行う方法も研究されている.「カーロボティクス」という言葉で表されるように,自動車と移動ロボットとの共通点に着目した研究が進められているが,そこでは,自動車に乗り運転を行う人間の存在があまり重要視されていないのが問題であり,今後検討を進めるべき課題でもある.本研究では,自動車のキャビン内において,知能情報処理技術を駆使して運転者を見守り,必要に応じて人とのコミュニケーションを取ることで,人と車の関係性をより発展させ,自動車が単なる乗り物ではなく,人にとって欠かせないパートナーと成る可能性を検討する.人とのコミュニケーションにより信頼関係を築くことで,運転者および搭乗者に安心感を与える方法,および,運転者を見守ることで,安全性をより向上させ,また快適性も増すような様々なアプリケーションを考案する.それらのアプリケーションに必要な機能を挙げ,その実現の方法を具体的に検討する.