列車運転士は，自列車の速度制御や到着時刻の予測，信号や標識の看視，走路上の不測事態への警戒など，限られた認知資源を効率的に分配して複数タスクを同時処理しなければならない．各タスクの処理に必要な情報源を走査する注視行動には，そのような運転士の技量の違いが現れると考えられている．本研究では，配列アライメント（Sequence Alignment）とよばれる配列分析手法を用いて，ベテラン群と若手群を区別する特徴的な注視行動パターンの抽出を試みた．配列アライメントにより，各運転士グループで共通する注視対象の部分時系列が得られる．その部分系列を比較した結果，ベテラン群は同じタイミングで同じ注視対象を見る傾向が明らかになった．
