抄録
我々の日常生活において恒常的に行っているものの中でも,意思決定は重要な要素を占めているであろう.このような評価問題の分野では,これまでファジィ測度,ファジィ積分が用いられてきている.しかし,現実的に,ファジィ測度やファジィ積分が現場の問題にどれだけ多く適用され応用されているのかについては,まだそれほど多くはないように思われる.その一つの理由は,ファジィ測度,ファジィ積分の概念が一般の人々に理解され受け入れられていないのがある.本稿では,以上のような視点に立って,ファジィ測度,ファジィ積分の現場への実際的な応用に目を向けて,社会的な問題解決のための方法論として,ファジィ測度,ファジィ積分の応用について考察し,この分野の新たな始点を示すことを目的としている.本稿では,サイモンの「限定合理性」にヒントを得た一つの考え方として,「限定合理的評価」について提案する.