日本顎関節学会雑誌
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臨床
関節鏡視下用高周波電気メスの使用経験
川上 哲司藤田 宏人桐田 忠昭
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2014 年 26 巻 1 号 p. 3-8

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抄録

関節鏡視下用高周波電気メスであるVulcan Electro Thermal Arthroscopy System®(Smith & Nephew Inc., USA)は,主に整形外科領域で使用されている。本システムは,高周波エネルギーに基づいたものであり,生体に高周波電流を流すことにより分子振動が発生し,それによって生ずる抵抗や摩擦による熱が組織の蒸散・止血・切開を行うものである。灌流液の温度上昇が小さく,プローブの操作性もよく,顎関節鏡視下手術器材に適応していると考えられる。本研究は,顎関節鏡視下手術に適用し,効果的であることを検討することである。対象は,すべて保存療法や上関節腔洗浄療法に無効であった症例である。手術は,Vulcan Electro Thermal Arthroscopy System®およびモノポーラであるマイクロチゼルプローブを用いて施行した。10例11関節,男性1例・女性9例,平均年齢39歳の症例に本システムを使用した。術後開口域は,術前24.5 mmから44.6 mm,疼痛のVisual Analog Scale(VAS)は,術前58.5から2.0に改善した。American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons(AAOMS)-Parameters of Care-95の顎関節内障手術効果判定基準による手術成績では,すべて有効以上であり,プローブの操作性もよく,顎関節鏡視下手術器材に適応していた。本システムは,効果的にかつ効率的に使用可能であり,顎関節鏡視下手術に適用可能であると考えられた。

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© 2014 一般社団法人 日本顎関節学会
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