日本顎関節学会雑誌
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<世界の潮流から考えるこれからの顎関節症治療:分類,診断基準の変革がもたらすもの>いわゆる2軸の評価とDSM-5
宮地 英雄
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2015 年 27 巻 3 号 p. 196-199

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抄録
顎関節症2軸の評価をするには,問診が不可欠である。主訴,経過,そして所見を総合的に診て,2軸の評価につなげていく。2軸の評価において,精神疾患の診断に際しては,米国精神医学会が編纂している精神疾患の診断マニュアルであるDSMという診断の指針が用いられることが推奨されているが,2013年に改訂され,第5版となるDSM-5が現在使用されるようになっている。DSM-5では,多軸診断が廃止になったほか,以前使用されていた「身体表現性障害」という用語がなくなり,「身体症状関連症群」という語が新たに登場した。この概念では,身体疾患の有無はさらに問わなくなっているようで,「苦痛を伴う身体症状に対する反応としての,異常な思考・感情・行動」を問題にしている。身体疾患の有無,鑑別を必要としない分,付しやすい疾患群となったといえる。「身体症状関連症群」では,身体症状症や,病気不安症といった疾患名が新設され,重複を少なくしまとめられた。対応について考えておかなければならないこととして,安易な侵襲的検査,治療のほか,患者や他領域の医療者へ説明をどのように行うか,という問題がある。初診医,特に身体科初診医の言葉は非常に重く,安易な説明や治療の進め方は,後でトラブルになる可能性がある。他領域との連携については,必要な病態,疾患がoverlapする場合が問題になる。
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© 2015 一般社団法人 日本顎関節学会
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