日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
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症例報告
意図的な部分切除術を適用した片側下顎頭骨軟骨腫の1例
辻 要安田 典泰山田 耕治蒲生 祥子福田 あおい竹山 旭栗岡 香美林 洋希大下 修弘酒匂 潤黒田 卓吉田 博昭百田 義弘井関 富雄森田 章介
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キーワード: 骨軟骨腫, 顎関節, 下顎頭
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2015 年 27 巻 3 号 p. 218-224

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抄録
骨軟骨腫は成熟した硝子軟骨から構成される良性腫瘍で,顎顔面領域での発生は比較的まれである。患者は39歳男性で,咬合異常と咀嚼障害を主訴に来院した。2007年より左側耳前部の腫脹を自覚し,2010年には顔貌の非対称が認められた。徐々に下顎の右方偏位が著明となり,咬合異常と咀嚼障害を認めたため,2013年1月に来院した。触診にて左側顎関節部に骨様硬の腫瘤を認めた。下顎正中は右側へ12 mm偏位していた。パノラマX線写真では左側の下顎窩と下顎頭の間に境界明瞭なX線不透過像を認め,CTでは左側顎関節部に骨皮質で覆われ,内部に不規則な骨硬化像を伴う,39×30×29 mm大の腫瘤状病変を認めた。骨軟骨腫または骨腫の臨床診断で,同年4月に全身麻酔下にて下顎頭を含めた腫瘍切除術を施行した。腫瘍上方部は頭蓋底に接しており,一部に癒着が認められたため,残すこととした。病理組織検査にて骨軟骨腫の診断を得た。現在,術後約2年経過しているが,残存腫瘍の増大などは認めず経過良好である。
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© 2015 一般社団法人 日本顎関節学会
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