日本顎関節学会雑誌
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感覚情報処理における脊髄グリア細胞の役割
津田 誠
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2019 年 31 巻 1 号 p. 3-7

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抄録

神経障害性疼痛のメカニズムに関する研究は,神経の障害が原因で発症する慢性疼痛であることから,神経細胞での変化が主に注目されてきた。一方で近年,脊髄後角のグリア細胞(ミクログリアとアストロサイト)が神経障害性疼痛に重要な役割を担っていることが,分子細胞メカニズムを含めて徐々に明らかになってきた。脊髄後角グリア細胞は神経損傷に応答し,さまざまな機能分子の発現を介して活性化状態となる。それらグリア細胞の活動を抑制することで,神経損傷に伴う脊髄後角神経の機能異常および疼痛の発症維持が抑制されることから,グリア細胞は神経障害性疼痛メカニズムを理解するうえで重要な細胞であり,鎮痛薬開発への有力なターゲットであると考えられる。本稿では,脊髄後角における感覚情報処理とグリア細胞の役割に関する最近の知見について紹介する。

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© 2019 一般社団法人 日本顎関節学会
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