日本顎関節学会雑誌
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顎関節内障クローズドロック症例の円板形態に関する研究 第一報, 顎関節腔造影X線所見による分類
瀬上 夏樹藤村 和磨村上 賢一郎松木 優典宮木 克明横江 義彦飯塚 忠彦
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1989 年 1 巻 1 号 p. 172-182

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抄録

顎関節内障クローズドロック症例89症例, 96関節に対して, 上下顎関節腔造影側面断層X線診査を施行し, 本症における円板変形の出現率, 形態分類, さらに各型における円板穿孔, 骨変形の出現率などを検討した。この結果, 1型-円板各部の形態, すなわち円板後方肥厚部, 中央狭窄部, 前方肥厚部の形態が残存し, 前後に延長した形態を有するもの39関節, 2型-屈曲して重畳像を呈するもの11関節, 3型-下顎頭前方で塊状を呈するもの46関節と, 3種に大別可能であった。各3型をさらに7亜型に分類して検討した結果, 円板変形は96関節中64関節 (66.7%) に認められた。一方, 円板穿孔数は, 1型2関節, 2型1関節, 3型11関節, 骨変形数は, 1型5関節, 2型1関節, 3型13関節と, いずれも3型において退行性変化が高頻度にみられた。各型の平均年齢は, 1型28, 1歳, 2型27, 2歳, 3型40, 1歳と, 1, 2型に比して3型は高齢者において多くみられた。
以上の結果より, クローズドロック症例では顎関節を構成する硬軟組織の変形が高頻度に出現することが明かとなった。

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© 一般社団法人日本顎関節学会
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