日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
Print ISSN : 0915-3004
ISSN-L : 0915-3004
顎関節鏡視下円板縫合・固定術と顎間牽引療法による新たな治療法で症状の改善をみた下顎頭縦骨折の1例
福田 敏博大月 佳代子中野 佳央大西 正俊
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 10 巻 1 号 p. 135-140

詳細
抄録
下顎頭縦骨折の治療に鏡視下手術を適用した報告は, 未だみられない。今回我々は, 下顎頭縦骨折症例を経験し顎間牽引, 顎関節鏡視下手術により, 良好な結果が得られたのでその概要を報告する。症例は, 68歳男性で, 整形外科より当科を紹介され受診した。顎関節二重造影CT像で両側下顎頭縦骨折とともに円板内側転位と腔狭窄が認められた。処置は, 顎関節鏡視下円板縫合・固定術に準じた方法で円板周囲組織を関節隙に縫縮, 梱包して関節隙内軟組織の厚みを増し, それとともに偏位した骨折片を引きよせる手術を施行した。術後1カ月目には, 開口域38mm, 下顎の咬合の安定が得られ, 牽引を終了した。1年4カ月現在, 咬合不全, 開口障害なく, また, 画像所見より下顎頭骨折片の癒合とともにリモデリングが観察され経過良好である。
著者関連情報
© 一般社団法人日本顎関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top