日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
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患者自身が認識する顎関節症の発症契機
第一報 自覚内容, 割合と背景要因との関係
宮本 奈津子木野 孔司小宮山 高之泉 祐幸和気 裕之渋谷 寿久佐藤 文明小林 明子渋谷 智明佐々木 英一郎天笠 光雄
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1999 年 11 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

顎関節症発症に際しての患者自身の契機の自覚割合, 内容, およびそれらの性, 年齢, 症型との関連について, 1992年に当科を受診し, 顎関節症と診断された912名中の809名の患者について調査検討した。契機自覚者は198名 (24.5%) であった。性, 年齢別では, 契機自覚者の分布に特異的な偏りは見られなかった。症型別ではI型, III型に較べ, II型, IV型の自覚割合が高かった。契機内容は17項目に大別でき, その内上位4項目が, 大開口62名 (31.3%), 打撲40名 (20.2%), 咬合の変化37名 (18.7%), 硬固物咀嚼35名 (17.7%) であり, これら4項目で自覚者全体の87.9%を占めた。これら項目のうち打撲においてのみ, 女性に較べて男性の占める割合が有意に高かった。年齢分布では, 咬合の変化を契機として自覚するものの割合がやや中高年に広がっていた。その他に不正咬合, 日中のくいしばり, 夜間のブラキシズムの有無と契機自覚の有無について調査したが, いずれの場合もこれら因子の保有割合は契機自覚有無の群間で有意差が見られなかった。

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