日本顎関節学会雑誌
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画像所見における下顎頭外側極後上方隅角部の吸収性変化と矢状断面像における下顎頭変形性骨変化との関連
栗田 浩大塚 明子上原 忍酒井 洋徳倉科 憲治
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2001 年 13 巻 3 号 p. 369-373

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抄録

顎関節内障の進行により下顎頭の変形性骨変化 (OA変化) が増加する。下顎頭のOA変化は主に矢状断面像において観察されてきた。しかしわれわれは, 下顎頭の前後撮影像に注目し, 下顎頭外側極上方隅角部の吸収性変化が関節円板前方転位例で有意に多く出現することを報告した。本報告の目的はこの外側極の吸収と矢状断面像で観察される下顎頭のOA変化との関連について検討することである。
138例217関節で検討を行った。下顎頭外側極の吸収の有無は, 眼窩下顎頭方向単純X線写真上で判定した。また, MRI矢状断面像 (関節中央部) において下顎頭皮質骨のOA変化の有無および関節円板転位を判定した。
外側極の吸収と矢状断面のOA変化の合併率は28%であった。復位性円板前方転位をもつ関節では, 外側極の吸収および矢状断面OA変化はおのおの単独でみられる傾向があり, 非復位性転位をもつ関節では両変化を併発する関節が多くなる傾向がみられた。
今回の検討の結果, 下顎頭外側極の吸収性変化と下顎頭矢状断面像で観察されるOA変化は両者ともに顎関節内障の進行とともに高頻度で出現するものの, おのおのの骨変化はそれぞれ別に異なった機序で発現する可能性が示唆された。

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