日本顎関節学会雑誌
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顎関節症に対する関節腔洗浄療法前後のjoint effusionと関節痛の比較
福井 功政
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2003 年 15 巻 1 号 p. 43-48

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抄録
【目的】顎関節MRIで認めるJoint Effusion (以下, JE) は, 関節痛と関連があるとする報告と, ないとする報告があり, 議論のあるところである。従来のJEと関節痛の関連を検討した報告は, 患者間で疼痛を比較しており, 疼痛評価に問題があった。さらにJEをカテゴリー化した主観性の強い評価法を用いていた。これらの問題点を解決するため, 本研究はJEを定量化し, 治療前後のJEと関節痛を比較した縦断的な研究で, JEと関節痛の関連を検討した。
【対象】対象は, 1999年1月から2002年6月までに関節腔洗浄療法を施行した片側性の顎関節内障または変形性顎関節症で, 治療前後でMRIを撮像していた24例24関節である。性別は男性2例, 女性22例で, 年齢は16~61歳 (平均28.5歳) であった。
【方法】JEはT2強調像の矢状断面で評価した。JEの面積を画像解析ソフトNIH Imageを用いて測定し, 次式で求めた値を体積とした。Voleff=Σ (Areff. i×ST) (Voleff: 体積, Areff. i: i番目の面積, ST: スライス厚)。関節痛はvisual analog scale (以下, VAS) を用いて評価した。対象を改善群と無効群に分類し, 治療前後のJEの体積とVASの変化を患者内で調べた。
【結果】改善群は19関節で, 無効群は5関節であった。改善群のJEとVASは治療後, 統計学的に有意に減少した。無効群のJEとVASは治療後, 統計学的有意差を認めなかった。以上の結果から, JEと関節痛に関連があると推察した。
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© 一般社団法人日本顎関節学会
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