2006 年 18 巻 2 号 p. 143-147
関節リウマチ (RA) は免疫学的異常を伴う慢性炎症性疾患であるが, 顎関節症状の発現頻度についての報告はさまざまである。関節頭破壊による開咬の治療には苦慮するところである。
今回, 骨吸収により下顎が後退, 前歯部に開咬を呈し咀嚼障害を訴えた患者に, 外科用ブラケットを組み込んだスプリントを上下顎に装着し, ゴム牽引により治療を行ったところ, 比較的良好な効果が得られたのでその概要を報告した。徐々に進行していくRA患者には, 治療だけでなく長期間の保定が必要であり, 患者に負担の少ないスプリントの使用は適切な保存療法の一つであると考えられた。