抄録
顎関節症と診断した139名について症型分類を行い, 頻度の高かったIII型およびIII型関連症例の保存療法における治療効果および臨床経過について検討した。治療開始後1ケ月の時点で, 復位を伴う関節円板前方転位例の早期クリック例がもっとも高い治療成績 (有効率75.8%) を示し, 次いで間欠的ロック例 (63.6%) 晩期クリック例 (56.3%) 永続的ロック例 (54.5%) の順であった。もっとも治療成績の低かった永続的ロック例において, さらに保存療法を継続した結果, 治療成績は上がり, ロック解除, 間欠的ロックへの移行, 関節円板後部組織の伸展による開口域の増大などバリエーションがみられた。