抄録
顎関節, 咀嚼筋などの咀嚼器官の不調を主訴とする顎関節症患者数は当科においても著明な増加をみている。この2-3年間においては, 全患者の約9-10%を占めていた。
今回, 我々は, 昭和56年から昭和63年までの8年度間に当科を受診し, 顎関節症と診断された全患者1408名についての年齢・性別による統計的分析と, 昭和63年1月から6月までの半年間の全顎関節症患者のうち外傷性を除く108名についての症型分類 (顎関節研究会1987年) を行ない臨床統計的観察を行なった。性別では, 1408例のうち男性393例, 女性1015例と女性に多く, 男女比は約1:2.6であった。年齢別では, 男女ともほぼ相似の分布をしており, 15-19齢の年齢にピークを持つ単峰性の分布であった。
次に症型分類では, 108例のうち, I型関連が23例 (21%), II型関連が17例 (16%), III型関連のうち関節円板の復位を伴うもの34例 (31%), 復位を伴わないもの32例 (30%), IV型関連が2例 (2%) で, V型関連は1例もみられず, III型関連が最も多かった。
また, 77%に筋症状がみられ, 84%になんらかの咬合異常が認められた。
2週間以上治療を継続した88名について, 症型別に治療効果の判定を行なった。