1991 年 3 巻 2 号 p. 268-277
咬合治療のために用いられるバイトプレーンの内, 顎関節内部障害患者にたいしては上顎に対する下顎の位置を変化させ顎関節部の異常を積極的に改善するタイプ, すなわちディスクリポジショニングバイトプレーンを用いることにより, より早期に症状の改善が見られることが多い。これまでこのタイプのバイトプレーンの効果については顎関節部に対する働きかけが主たるものであり筋に対する見解は見られなかった。そこで本研究は主として咀嚼筋に対するディスクリポジショニングバイトプレーンの影響を検討したものである。その結果, 関節円板の位置の是正を目的としたこのバイトプレーンが筋肉に対しても大きな影響があり結果として関節円板後方付着部分や下顎頭に付着する筋の安静をはかるのではないかと思われる所見を得たものである。