日本顎関節学会雑誌
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歯と顎関節部の麻酔が咀嚼筋Silent periodに及ぼす影響についての研究
小椋 正奥 猛志
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1992 年 4 巻 1 号 p. 47-58

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抄録

SPの生理的意義や発現機構については不明な点が多いが, 口腔周囲の受容器との関係が重要であることを示唆する発表が多い。そこで, 今回我々はそれらがどのように関係しているかを解明する一助として, 各種受容器とSPとの関係を知る目的で次の状況〔正常状態 (stage I), 下顎全歯麻酔 (stage II), 上下顎全歯麻酔 (stage III), 顎関節部麻酔 (stage IV), 顎関節部および上下顎全歯麻酔 (stage V)〕のSPを誘発する実験を行った結果, 以下の結果を得た。
1) Tapping時とjaw jerk時のSP出現頻度は, stage Iとstage IIおよびstage IVでは殆ど差がなかった。すなわち, stage Iと比較してstage IIIおよびstage Vでは, SPの出現率が有意に低かった。
2) Tapping時とjaw jerk時のSP出現率は, tapping時よりもjaw jerk時のほうが高かった。
3) Tapping時のSPLはstage Iと比較してstage IIIとstage Vで著しく短縮していたが, SPDではstage Vのみが短縮し, stage IIIでは一定の傾向が認められなかった。すなわち, 96回/分, 120回/分のtapping時のstage IのSPL, SPDと比較してstage VのSPL, SPDが短縮していた。しかし, その変化量はSPDよりもSPLの方が大きかった。
4) Jaw jerk時のstage VのSPL, SPDAは全て著しく延長していた。なお, SPLとSPDAの値の変化はSPDAよりSPLの方が大きかった。

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