日本顎関節学会雑誌
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顎関節腔二重造影断層検査と関節鏡検査との病変検出能
上顎関節腔の癒着, 線維化, 円板および後部結合組織穿孔について
小林 馨近藤 寿郎今中 正浩湯浅 雅夫今村 俊彦柏原 広美若江 五月山本 昭
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1992 年 4 巻 1 号 p. 99-106

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抄録

顎関節内障の診断において, 顎関節腔二重造影断層撮影法は診断精度の高い検査法とされている。一方, 顎関節鏡視下手術は, 顎関節内障の有効な治療手段の一つとなりつつある。顎関節腔二重造影断層所見と鏡視所見との対比を行い, 両検査法によって得られる病的所見を整理することは, 効率的な診断法と治療法とを確立するために必要である。そこで, 顎関節鏡視下剥離授動術を施行した34症例, 35関節について上関節腔所見に関して検索した。
顎関節腔内癒着については, 両検査所見は86%が一致した。関節腔内線維化は, 内視において10関節に認められたが, 二重造影断層検査で検出されたのは4関節であった。関節円板後部結合組織の穿孔は, 透視検査を含む二重造影断層検査で15関節であり, このうち内視検査で確認できたのは3関節である。
二重造影断層検査は広い観察可能範囲を有し, 関節円板および上関節腔の形態変化を検出するのに優れており, さらに関節腔内癒着の検出までは診断可能であった。関節腔内線維化の検出には, 関節鏡視検査が優り, 表面性状を詳細に観察可能である。両検査は, 相互に補完することでより詳細な顎関節腔内病変の診断を可能とする。

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