日本顎関節学会雑誌
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矯正患者における顎関節症 (顎機能異常) に関するアンケート調査
川端 真一山田 一尋町田 直樹中村 順一川原 一郎晝間 康明相原 義憲森田 修一花田 晃治
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1996 年 8 巻 1 号 p. 194-204

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抄録

新潟大学歯学部附属病院矯正科では, 矯正治療初診時にアンケート調査 (1. 来院動機, 2. 全身・口腔内状態, 3. 生活環境・各種習慣, 習癖, 4. 顎関節症状) を行い, 顎機能診査の一助としている。今回, 1991年12月から1995年3月の期間に, 新潟大学歯学部附属病院矯正科を受診し登録された患者のうち, 唇顎裂口蓋裂などの先天異常患者を除く, アンケートですべての項目に回答が得られた顎変形症患者を含む258名 (男性97名, 女性161名, 平均年齢15.0歳) における顎関節症状の実態ならびに咬合関係や習癖と顎関節症状との関連性について調査した。
その結果,
(1) 有症者率は28.7%であり, 有症者率に性差はみられず, 加齢とともに高くなる傾向がみられた。
(2) 有症者における顎関節症状の発現率は顎関節雑音と開口障害のどちらも見られた者29.7%, 次いで顎関節雑音のみの者が28.4%, 顎関節雑音と開口障害と顎関節疼痛の3症状全てがみられた者が14.8%であった。
(3) 有症者と無症者における生活環境, 各種習慣, 習癖などに関して, 5%の危険率で有意差が認められたものは, 片側咀嚼, 咬むのに困る, 硬いものを咬むのに困る, 肩こり, 背骨の曲がり (姿勢が悪い), 夜眠れないの項目であった。
(4) 12歳以上では, 一般矯正治療患者に比べて顎変形症患者が1.0%の危険率で有意に有症者が多かった。
以上より, 顎関節症は不正咬合のみならず, 各種習慣, 咀嚼習慣, 精神状態, 顎変形症との関連性が示された。

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© 一般社団法人日本顎関節学会
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