日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
Print ISSN : 0915-3004
ISSN-L : 0915-3004
顎関節症における下顎頭骨形態変化の臨床的意義の検討
第1報: 顎関節内障との関係
坂本 一郎依田 哲也櫻井 仁亨塚原 宏泰森田 伸依田 泰阿部 正人荒 昌晴小林 弘幸平 健人谷口 亘三井 妹美小野 富昭榎本 昭二
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 8 巻 1 号 p. 182-193

詳細
抄録
顎関節症における下顎頭骨形態変化の臨床的意義の検討の第1報として, 下顎頭骨形態変化と顎関節内障との関係について検討し, 以下の結果を得た。
(1) 下顎頭骨形態変化は1120症例中120症例 (10.7%) にみられ, 骨形態変化を伴わないものに比べて, 女性の比率が高い傾向がみられ, また有意に平均年齢が高かった (t検定, p<0.01).
(2) 顎関節内障を伴う症例の割合は, 骨形態変化を伴わない症例よりも, 骨形態変化を伴う症例で有意に多かった (x2検定, p<0.01)。さらに顎関節内障の中でも, クローズド・ロックを伴う症例の割合は, 骨形態変化を伴わない症例よりも, 骨形態変化を伴う症例で有意に多かった (x2検定, p<0.01)。
(3) 顎関節症IV型120症例の下顎頭骨形態変化の出現延べ数は, 219であり, その内訳は, erosionが82 (37.4%) と最も多く, 以下osteophyte 50 (22.8%), eburnation 28 (12.8%), flattening 23 (10.5%), deformity 22 (10.0%), concavity 13 (5.9%), sclerosis 1 (0.5%) の順であった。
(4) 顎関節症IV型の下顎頭骨形態変化の種類別延べ数の出現頻度は, IVp型ではerosionがIVc-型ではflatteningが, 他の病態よりも有意に多かった (x2検定, p<0.05)。
著者関連情報
© 一般社団法人日本顎関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top