1997 年 9 巻 3 号 p. 482-490
われわれは骨格性下顎前突症患者における下顎頭の滑走運動制限の頻度を調査し, この滑走運動制限と顎態および下顎窩形態との関連性を検討した。検索にあたり開閉口時の顎関節X線規格写真および側面頭部X線規格写真を撮影した。骨格性下顎前突症患者48人中20人, 96関節中30関節に最大開口時の下顎頭の滑走運動制限を認めた。しかしアングルI級叢生患者には一例認められたのみであった。骨格性下顎前突症患者において, 下顎頭の滑走運動制限をもつ患者はGonial angle, ∠SN-Mp, ∠Pp-FOCの計測項目で有意に大きな値を示した。しかし下顎窩形態とは関連性を認めなかった。