岩石鉱物鉱床学会誌
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北上山地,堺ノ神深成岩体の岩石化学
加藤 祐三浜 聰
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1976 年 71 巻 12 号 p. 363-373

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抄録

堺ノ神岩体は北部北上山地に位置する白亜紀貫入岩体の一つで,野外と鏡下での観察から,貫入の順にA, B, Cの3岩型に分類され,さらにA型は3亜型(A1~3)に, C岩型は2亜型(C1, 2)に細分される。それらを構成する代表的な岩石は次の通りである。
A1 かんらん石普通輝石普通角閃石斑れい岩
A2 普通輝石普通角閃石斑れい岩
A3 黒雲母普通角閃石斑れい岩
B 黒雲母普通角閃石斑れい岩,閃緑岩
C 黒雲母普通角閃石花崗閃緑岩
鏡下での観察から, A2, A3亜型には普通角閃石が斜長石より先に晶出したもの(hグループ)と,その逆のもの(pグループ)とが認められる。前者のかなり多くと,後者の一部は,各種程度の結晶集積相である。
化学分析値を珪酸-酸化物図にプロットすると多くはほぼなめらかな曲線にのるが, A型の岩石のMgOとAl2O3に関しては大きくバラつく。これらのプロットは結晶分化作用と結晶集積作用の差および集積した鉱物の種類の差で,計3種の曲線上に整理される。

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