岩鉱
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日本海北東部から新しく発見された第四紀火山:後志海山から採取された安山岩のK-Ar年代
土谷 信高石井 次郎山崎 哲良周藤 賢治
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1989 年 84 巻 11 号 p. 391-397

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抄録

後志海山は,日本海北部の奥尻海嶺東縁に位置する円錐形の海山である。これまで中新世後期~鮮新世の堆積層からなると考えられていたが,山頂部付近から多量の安山岩・石英安山岩・玄武岩などが得られたことにより,火山であることが確認された。これらの火山岩礫のうち,最も大きく新鮮なかんらん石普通輝石安山岩についてK-Ar年代測定を行った。測定値の平均は0.9 ± 0.2 Maであり,第四紀更新世の値である。初生Ar同位体比の大気組成からのずれは年代決定に大きな影響を与えるが,それを考慮に入れても年代値は第四紀の範囲に入る。したがって,後志海山の形成年代は第四紀更新世以降であると考えられる。後志海山の位置は日本海北部に産する渡島大島・利尻火山のほぼ中間であり,東北日本弧および千島弧におけるマグマの成因を解明する上できわめて重要であろう。

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