グローバルビジネスジャーナル
Online ISSN : 2434-0111
自由論題(査読付き論文)
組織における新規事業創出への エフェクチュエーションの適用可能性
川瀬 健夫
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2024 年 10 巻 1 号 p. 61-72

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抄録
本研究は,起業家の意思決定論理であるエフェクチュエーションを組織における新規事業創出に適用する有効性を検証したものである.新規事業の推進者ではなく,経営上層部や関連部門(組織サイド)への適用に焦点を当てた.エフェクチュエーションの下位次元である柔軟性と外部連携の活用が探索パフォーマンスを向上させる一方,許容可能な損失の原則は逆効果をもたらすことが明らかになった.また,組織サイドではコーゼーションが意思決定論理として用いられるが,その効果は不明確であることが示された.組織文化の影響を検討した結果,規律性が高い組織では柔軟性と外部連携が促進されるのに対し,集団主義が強い組織ではこれらが抑制され,許容可能な損失の原則が用いられることが判明した.組織が新規事業創出を活性化するには,柔軟性と外部連携を促進する自己規律性重視の文化を育むことが重要であると考えられる.
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© 2024 グローバルビジネス学会
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