抄録
本研究では, リモートワーク環境を踏まえて, ジョブ・クラフティングが内発的動機付けを通じてワーク・エンゲイジメントを高める効果について分析することを目的とする. 調査対象は, リモートワーク経験のある社会人非管理職500人で, オンライン調査の結果を共分散構造分析の手法を用いて分析を行った. 結果は, リモートワーク環境において, ジョブ・クラフティング, 内発的動機付けそれぞれのワーク・エンゲイジメントに対する直接効果を確認した. また, 間接効果が部分媒介であることを確認した. 理論的な貢献は, ワーク・エンゲイジメントの研究にリモートワーク環境という条件を付加し, 実証研究を通じて先行研究と整合的な結果を得た点,リモートワーク環境への経験や慣れが内発的動機付けの媒介効果を高めることを検証した点である.