抄録
本研究では,日本の大学生を対象にテレビ(TV)やYouTubeの視聴と主観的幸福感(SWB)の関係を明らかにする.特に本研究では交絡因子としてパーソナリティ特性に着目し,統計的手法(構造方程式モデリング)を用いパーソナリティ特性の影響を取り除いた条件においてTVとYouTubeの視聴とSWBの関係を明らかにする.
調査は首都圏の私立大学の学生138名に対し行われ,分析の結果以下の3点が明らかになった.(1)SWBとTV視聴傾向には正の関係性があるがYouTube視聴傾向とは関係がない.(2)勤勉性はSWBとTV視聴傾向の両方に正の影響を与える交絡因子であり,他の特性の大半は直接SWBのみに影響する.(3)勤勉性はTVの音楽,ドラマ,スポーツ,芸能・情報の視聴傾向に影響を与える.
これらの結果はTVとYouTubeなど広告収益型メディアの産業発展に肯定的な基礎結果であり,今後の活用が望まれる.