抄録
新興国に展開した日本の中小企業が,現地パートナーとの関係構築で失敗している事例が多い.我々は,合弁ビジネスの関係者間の「暗黙知の乖離」に,失敗の原因があると考えた.本論文では,ミャンマーで国際合弁会社を設立し,運営を継続している日本の物流企業の事例を分析した.関係者へのインタビューの質的分析から,国際合弁会社の設立時には,暗黙知の乖離を解消するために,信頼の構築が鍵となることが示唆された.さらに,国際合弁会社の運営において,暗黙知の乖離を意識的に抑えなければ,暗黙知の乖離が再び生じうることが示唆された.