抄録
厳しい財政制約の下でインフラの老朽化に対応するため,アセットマネジメントの実施とPPP/PFI 手法の導入が並行して進められている.前者は,2014 年1 月に発行されたアセットマネジメントの国際規格(ISO55000 シリーズ)にも謳われている「アセットからの価値を実現化する組織の調整された活動」であり,後者はインフラの管理・運営を官民協働で実施するしくみである.本稿では,これまで官民のリスク分担や契約手続き,プロジェクトファイナンスのしくみなど,プロジェクトマネジメントの視点からの研究が多かったPPP/PFI 手法について,各手法の将来フリーキャッシュフローから導出されるインフラの資産価値の評価式をもとに,民間事業者がアセットマネジメントを実施するインセンティブの有無,インセンティブを持たせるための方策について考察する.