2023 年 21 巻 p. 222-240
多様なエスニシティの人びとが国内に増加し,我々の生活に密接に関わる地域日本語教育が益々重要となることが予想されることから今後,国(マクロ),行政(メゾ),個人(ミクロ)の多層的連携がより一層望まれる。本稿では,マクロとミクロをつなぐメゾの立場に注目し,ある国際交流協会が日本語教室を運営する中で直面した課題とその対応を明らかにするとともに,課題解決に重要な要素を検討することを目的とする。SCATを用いてそれら要素を分析した結果,(1)問題を「明確」にする力,(2)解決・改善のための「柔軟さ」,(3)教室内外の関係性構築といった「人的な環境調整」,(4)教室活動等を定期的に見直すといった「構造的環境調整」が課題解決に重要だと示唆された。本稿がこれからの多文化共生社会の形成に向けた多層的連携の意識付けとなり,地域日本語教室を運営する行政(メゾ)らにとって課題解決のための有用なヒントとなれば幸いである。